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ゴールドコース体験記

 

 新年度の半分が過ぎたところでコストダウンの進捗を知ったミスターXは愕然とした。

 通常なら2000万円ぐらいは実績が出来ているはずと予想していたのである。コストダウン額は900万円と惨憺たるものであった。長谷川課長に現時点までの推移を確認したところ、値下げ交渉が思うようにならないと言うのである。毎年経験することなのだが、年度初めにコストダウン計画を作成し、そこから価格交渉が開始されるパターンだが、これ程までに思惑が外れるとはゆゆしき状況と言わざるを得ないことである。

 

 そうこうしていたところ、突然社長から呼び出された。

 

 「現在直面している収益状況では、早晩事業の大幅な見直しをせざるを得ないのは認識してくれているな。この難局を乗り切るには、もはや販売増に期待することは出来る状況ではない。従って、コストダウンで何としても目標の利益を出してもらわなければならないぞ。」と言う指示であった。

 

 ミスターXの仕事場は管理部というところで、総勢15名のこじんまりとした家族のような集団である。

 ミスターXは取締役としてこの管理部を取り仕切っている。個々の仕事は、いわゆる製造業のスタッフで、経理・人事・総務・管理・購買・物流・法務などと手広く、それぞれが2-3人で運営された少数精鋭の体制である。この会社にはその他の組織としては、経営企画部・営業部・製造技術部と、派遣社員を擁した製造周りでの下請けからなっている。現在の社長は、創業者の弟で、営業畑であった兄の死後、その遺志を継いだ技術畑の2代目社長である。役員は社長以下、常務取締役、各部に配置された取締役3名、執行役員3名である。

 

 そんな環境の中にあって、ミスターXは長年に亙って購買部長を兼務して来た。

 

 購買部はミスターXを含めて3人である。

 長谷川課長はコストダウンなどを主とする交渉事を担当している。もう1人は女子社員で、受発注業務を一手に引受けている。交渉事は課長が専ら行なう分担になっているが、重要な原料やここぞと言うコストダウンの場合には、ミスターX・長谷川課長の2人掛かりで価格交渉を進める格好が常套で、ミスターXは会社の看板として交渉力を補強する役回りになっている。

 

 先ほどの社長の指示で頭を悩ます日々が悶々と続く。

 兎に角、実質2人で社長命を達成するしかないのだ。「そんなこと言ったってどうしようもないじゃないか!」と心が呟いている。熟睡できない夜が続く。

 

 ミスターX自身は、団塊の世代であり、当年とって59歳。

 そろそろ60歳を迎える心の準備が必要にある年恰好である。幸い取締役の定年は原則65歳なので、解任されない限りはまだ定年を気にする立場にはないが、役員と言えども所詮は宮仕えだ。働き度合いを厳しく評価されているのは気になるものである。特に、ここ1-2年の仕事振りは今後も役員に留まれるかどうかの正念場でもある。

 

 購買部では毎期5000万円のコストダウンのノルマが課せられており、その達成状況がいつものことながらミスターXの悩みの種になっていた。すっかり薄くなってしまった頭を撫でながら、どうしたものかと思いを巡らすと言うのは毎期のことながらすっかり習慣づいてしまった。寝ても醒めても気掛かりなことは頭から離れることはない。

 

 数日後、課長が青ざめた顔をして報告に来た。

 「値下げどころか値上げを強要されている。」と言うのである。取引先の主張は、原料の値上げがあるので「製品価格を値上げしないと利益が出せなくなっており、このままでは供給することが難しくなる。」と言うのである。取引先と言うのはこの場合は商社のことであった。

 

 「うーん、弱ったなあ。コストダウンに悪戦苦闘していると言うのに値上げだとは!」、

 「と言っても、拒否すれば玉がなくなり製造が止まってしまう。複数購買していたらこんな苦しみを凌げるかもしれないが、今言ってみても始まらないし・・・」、

「一体どうすりゃいいのだ?我々2人は取引先と社長の間に挟まれているではないか。」、「しかし、社長に泣き言は言えない。俺の将来が掛かっているわけだし。打開策はあるのだろうか?いやいや、だろうかではなく、何としても突破するしかない。」、

「では、どうする?妙手でもあるのか?・・・」

 

 こんな時、ミスターXは誰にもグチる先はないのだ。苦悩を聞いてくれる相談相手などいない。士気に関わるので部下には狼狽振りを見せてはならない。「しかし、どうすりゃいいんだ???」

 

 「誰か助けてくれよ!」と自宅のトイレで思わず叫んでしまっていた。正に挙句での吐露である。

 「んっ?何だって?助けて欲しいと言うのか?その通りだよなあー。助けてくれる人がいればこんなに苦しまなくて済むんだよねー。」

 

 ミスターXは気付いたのだ。

 「そうか、自分で何とかしなければ、と言うのが間違いだったのではないのか?」、

 「誰が自力でやらなければならないと決めたんだ?えっ、誰が?誰かからそう言われたことがあったのか?」、

 「いやいや、誰からもそんな事を言われたことはないぞ。そうか、これは自分が決めていたことだ。自分で決めていただけなんだ!」、

 「と言うことは、助けてくれる人を探してみるしかないだろう。今やれることと言ったらそれしかないぞ。」

 

 「待てよ、そんな夢みたいな事を追い求めたって何も見つかりはしないさ。止めとけ!」、「甘えちゃ駄目だ。それがいつものお前の悪い癖だぞ。またしてもその手で逃げるのか?卑怯者め!」・・・もう一人の自分が引き止めようとしている。

 

 「でも、そんなことを言っている場合じゃないだろうが・・・。道は閉ざされているんだ。このままじっとしていたら何も変わらないじゃないか。行動してみるしかないんだよ。」

 

 ミスターXは振り子のような心の葛藤の中からようやく気持ちの整理が少しついてきた。

 「行動を止めることはいつでもできる。行動を開始してみたっていいじゃないか!やっても駄目だったら納得できるじゃないか!やらなきゃどうしようもないんだ!」

 

 一体どれだけの時間が経ったのだろう・・・・・・・・。

 ミスターXはおもむろに自分の机の上のパソコンを触り始めていた。この年代にとってはまだまだパソコンはある種のアレルギー感を伴うおっかなびっくりの世界である。聞きかじりのやり方でネット検索を始めた。【コストダウン 原料】とキーで打ってみた。

 

 画面に多くのホームページのリストが表示された。1つずつ中を覗きに掛かった。パッと目に飛び込んできたのは化学原料コストダウン研究所と言う会社のホームページであった。

 

 「うーむ、これは一体どう言うやり方でコストダウンをするのだろうか?」、

 「輸入価格を解析することで適正価格を見極める事ができる??確かに各国からの輸入価格がわかれば、手近の商社に相見積りを取るよりよっぽど確かなはず。商社マージンが入っていないからな。しかし、輸入統計の中身は一つのコード番号にいくつもの原料がごちゃごちゃに混じり、特定原料のみ拾い出す事は出来ない、と課長に聞いた事がある。そんなことが本当に出来るのか?」、

 

 「んっ?事例と言うのをタダで貰えるらしいな。よし、兎に角、手に入れて読んでみることにしよう。部下に読ませればいいや。」

 

 ミスターXの中に何か予感のようなものが走った。

 他でもない。「助けてくれる人が見つかったのかもしれない。」と言う予感。

 「ちょっと待てよ。いや、そんなアホな、そんなうまい話があるわけないじゃないか?」と言うもう1人の自分の声。

 

 

 

 きっと、これについて読まれたあなたも、「そんなこと絶対あるわけがないよなー。」と思われたと思います。

 

 「そう言うことが本当にあるのですよ!」と私共が必死になってお伝えしても、怪しく感じるお気持ちを払拭していただくことは並大抵のことではないと分かっています。それでも「本当なんだ!」とあなたにはどうしても目覚めていただきたいと願っております。

 

 失礼しました。話を元に戻しましょう。

 

 

 

 その日のうちに事例が届いた。

 課長と手分けして読み漁った。輸入価格解析のデータが示されていた。劇的に価格を下げることが出来たという事実とコストダウン効果の大きさには正直驚いた。今まで長年に亙って爪に火を灯すような1円/kgレベルの価格交渉を繰り返してきた自分たちにとっては信じられない数値が書かれていたのである。

 「400円/kgであったものが125円/kgになっただと?」

 

 「データには半信半疑であったが、とにかく動く事が大切だ。

 直ぐにその会社と面談することを決めたミスターX。どうも進め方がよく分からないのだが、どうやら自分たちの知らないコストダウンの世界(術)があることに確信を持った。「昔から自分たちがやっているコストダウンの方法と言えば・・・。値下げ交渉に頼ってきた。商社に相談して別のところから購買することも希に試みてきた。それなりには手を尽くしてきた自負はある。しかし、こんなやり方に留まっていてはコストダウンが早晩できなくなるし、値上げを迫られたらひとたまりもないではないか。やはりここは思い切って従来の延長線ではないコストダウンにチャレンジすべき時が来たのではないのか?」そんな期待が一気に膨らんできた。

 

 それでも、「このデータ、本当なのか?」、

 「この人の元いたところが単に下手くそな買い方をしていただけじゃないのか?」、

 「上手すぎる話にはくれぐれも注意と幼い時から親に叩き込まれたことだし・・・。」、

 「やっぱり胡散臭いなあー。」と言う不安はさすがに拭えなかった。

 

 もう一度、ホームページを調べ直してみると料金表があることを見つけた。

 

 「へーえっ、コンサルタントなのにフィーは見積でなく公開されているんだ。これは契約直前に知らされる恐ろしさがない点では安心できるな。」、

 「えっ、完全成功報酬型だって?そんなのコンサルタントの世界にあるのかよう?驚いたな!でも、美味し過ぎる。」・・・・・

 

 依然として怪しさを禁じえないミスターXである。

 

 事例の中に書かれていたフロー図を見た。

 

 どうやら契約までならタダで自由に相談できる流れがあると分かったので、怪しいけどとりあえず会ってから判断すると覚悟を決めた。同時に、コストダウンしたいと思っている原料類の何かしらの情報を思い切って開示して購買診断することが出発点になっていると分かったので、とりあえず購買金額の大きい原料10種類を表に纏めたものを準備して臨むことにした。

 

 名刺交換した相手の所長は白髪で実年齢より若干上に見える、やや音色の高いシワガレ声の軽薄そうな人物であった。「おいおい、こんな老いぼれで大丈夫か?」と一瞬不安が過ぎった。

 ただ、話し始めると、どうして劇的なコストダウンが実現できるのかの根拠を熱っぽく語る姿勢にはこれまでの経験に支えられた自信と何より誠実な人柄を感じた。確かに、話す内容には説得力があった。

 

 しかし、どのような体制でサービスをしているのかを聞いてみたところ、業務提携しているパートナーを6人抱えているとは言え何と1人だけで行なっていると言うではないか。しかも、法人ではなく個人事業。

 

 「どんなに内容が素晴らしくても、法人でないと言うことに他の役員や社長が納得するだろうか?」と言う心配も浮かんできた。

 

 しかし、そんな心配をしながらも、話を聞いているうちに、やはり全てではないにしろ、テスト的に1つの原料で導入してみたくなった。今までの自分たちのやり方とは大きく異なる総合的な取組みらしいので、現状のコストダウン状況を一変させてくれるはずとの手ごたえを感じることができたからである。秘密保持誓約書を後追いで提出する旨約束させた上で、表に示した原料の細々とした原料情報を部下に説明させてその日は終わった。

 

 ミスターXは3ケ月後に購買診断結果の報告を聞いた。

 10種類の中で1つだけ選ぶとしたら、と言うお奨めの原料あるらしいこととそう言うだけの根拠があると言うものだった。先方の話によればこの最も推奨できる原料はかなり安価に輸入されているので輸入価格に近い価格を獲得できる可能性があると言うのである。又、その時の候補先は世界中から探せると言うのである。更に、推定販売価格から見ても安くなるはずとの説明もあった。因みに、この推定は社長が口をすっぱくして言っていたこと「本気でコストダウンしたかったら、コスト試算から適正価格を見抜け。」と同じ意図のものであった。要するに、同等品質のものを世界中から探し出し、輸入価格に近い見積が取れたところから直取引で買えば、確実且つ大きなコストダウンができるはずだと言うものであった。「そこまで世界中を手広く探して行けば品質面で使えないと言うどん詰まりも候補の数で乗り越えられるだろうな」、確かに、これに勝る他の方法は無いように感じられた。

 

 ミスターXは、この話を聞きながら、将来を膨らませていた。

 「これだけ根拠がしっかりしたやり方なら成功確率も高そうだし、成功報酬型だからリスクがなく、費用対効果も文句なしだ。社長がかねがね言い続けていた『従来の延長線ではないコストダウンを目指せ』にもピッタリ符合するので稟議も心配なかろう。私も勇気を持って活用する気持ちが固まった。後は前進あるのみだな。第一、これだけの方法を尽くしても出来ないものなら、どうやっても、誰がやっても、コストダウンができないと証明したようなものだ。社長と言えども文句は言えないはずだ。」

 

 と同時に個人的な思いも駆け巡った。

 

 「こう言う抜本的な改革は、取締役である俺ならではの働きとして社長も周囲も絶賛するに違いない。今までの戦術ばかりのコストダウンから戦略レベルに一変できるからな。着実にやってきた私の会社生活の中でも特筆すべき英断だったと後から胸を張って振り返れそうだな。この調子で行けば部下のコストダウンの苦しみは一掃されるだろう。兎に角、今日は久しぶりに熟睡できそうだし、今夜の酒は格別のものが味わえそうだ。」

 

 その後、2ケ月掛かりで社内稟議が承認され、5ケ月後には契約が締結された。

 更に、製造技術部を巻き込んだキックオフミーティング、コストダウン企画書報告会、協働作業によるコストダウンの実現活動と言う具合にどんどん進展して行くことになった。

 

 ところが、当初挙がっていなかった微妙なスペック項目を追加する必要が出てきて、海外の候補メーカーにそのスペックの追加ができるのかどうか、その品質変動範囲を安定的に達成できるのか、と言う点について検証する作業で3ケ月を要することになった。

 

 更に、予期していなかったことが起こってしまった!

 サンプル評価で品質良好とのテスト結果を踏まえて大規模評価を開始したところ、異物が混入していることが発見されて社内は大騒ぎとなった。

 

●  損害賠償、

●  残った原料の応急処置、

●  異物対策のための現地での協議・計画立案・合意、

●  異物対策の実行状況の確認、

●  海外候補メーカーからの再発防止誓約書の獲得、

●  評価再開のための現場説得、

●  現場への異物対策設備の追加、

 

 上のような総合的な善後策を1つずつ講じて行った。正に3者協働での苦しい道程であったがこの事件を通じて相互の信頼関係は揺るぎがたいものとなって行った。

 

 1年半後にコストダウンの収穫が始まった。因みに、この原料でのコストダウンの実績は、コストダウン率25%、コストダウン金額3300万円/年で、この活動で使われた出費は1850万円であった。

 

 長かった2年間を振り返りながら、ミスターXは心の底から呟いた。

 「あー、しんどい思いをしたなあー。一時はひやひやもので、いつものように商社に相談を持ちかけていれば遥かに楽だったろうに、と正直後悔した時もあったよ。」、

 「でも、ハイリターンを求めて挑戦したお陰で多くの新しい経験が積み上げられたのは楽しかったぜ。今となっては懐かしくさえ思えてくるよ。」、

 「結果として、従来では到底考えられないほどの大きなコストダウンを手中に収めることが出来たんだ。間違いなくこのレベルには堂々と胸を張れる自信がある!」、

 「やはり、人並みのことをしていては人並みの成功しかなかったであろうなと心底思うよ。」、

 「今回の成功はみんなの知恵の結晶であり、俺も自慢できる足跡を刻んだよなあー。何せこの戦略は俺が英断したものだから。」、

 「この経験は海外メーカーへのアレルギーを克服するものだったとも言えそうだ。どんどんグローバルな購買を実行する自信がついてきたぞ。」

 「当初胡散臭さに取り付かれたが、正に信じるものは救われるだったな!」、

 「次の原料を早く探さないといけないな。」

 

 

 

 最後までお読みいただきありがとうございました。あなたの読まれたご感想はいかがでしょうか?

 

 従来の価格交渉を主とするコストダウンではミスターXの肩には毎期5000万円のノルマが掛かっていました。取引先が変更にならないと言う条件下では、値下げできる時もある一方で値上げになってしまう時も避けられないので価格交渉によるコストダウン活動は永遠に必須になります。

 

 しかし、今回のコストダウン活動の場合は、抜本的な購買構造の改革により世界規模で最適化された結果としてのコストダウンですから、この1回だけの活動の効果は2年目以降にもほぼ保証されているような性格を持っています。即ち、2年目以降に値上げが起こる可能性は殆どないのです。従って、2年目以降何らのコストダウン活動をすることがなくても、毎年3300万円の利益を生み続けることになったのです。

 

 即ち、後戻りすることのない損益分岐点の改善が一歩進んだことを意味しているのです。第2・第3の原料でも同様に取組んで行けば損益分岐点を改善し続ける階段を一歩ずつ登って行くことができます。

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